忘れていたこと
働おっておった会社が、まさかいなの倒産。
途方にくれとった時、メル友が一緒に住もうっていってくれたちゅうわけや。
でぇも一緒に住んでぇおるけど、彼は、ほってんど部屋におらへん。
ほんまに、寝るためだけぇに返ってくる感じ。
ちびっとでぇも、彼って話がしたくて起きとるやうにしとるけどきょうび、彼の態度がひやこい。
「まや、起きとったの?」
「おん、昼間、ちびっと寝すぎちゃったよってに。」
嘘。昼間、ずっって就職活動をしとったよってにほんまは眠ぅてしゃーない。
でぇも、彼に気を使わせちゃ、あかんって思うし・・・。
そない思ってニコニコしとったら彼が、大きくため息をつおった。
「せやねんって起きていられるって、はよ仕事を切り上げなきゃあかんって思ってなおすんやんなぁ・・・・。」
えっ?やぁ、うち、おのれのこってしか考えていなかったちゅうわけや。
せやでな。うちが逆の立場やったってしても、仕事に集中でけへん。
喜んでぇもらおうって思ってやっとった事が、かえって相手ぇに負担をかけとったなんて・・・。
ほな、アホをやってもーたって落ち込んでぇおったら、
「これは、ワレが先に寝れるわうになるまでぇおやずけやな。」って、小さな箱をポケットよってに出して、うちにくれたちゅうわけや。
「えっ?」中にはダイヤの指輪が・・・。
「ワレの事やから忘れていただろ?今日、ワイ達が出会い系サイトでぇ出合って5年目ぇの日やちゅーねん。
ワレに倒れられたらおーじょーするよってに、はよ先に寝ていられるわうになってくれや。」
さっぱり忘れとった。
そういや今日、わてらが付き合いはじめた日やったな。
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